12月も半ば、もうすぐクリスマス!
今回はイタリアのクリスマスのお菓子について。
イタリアのクリスマスに欠かせないお菓子がこのパネットーネとパンドーロ。
今年は早くも10月からスーパーでの売出しが始まっていた。
この他にもクリスマスに食べるドルチェ(お菓子)はいろいろあるのだが、今回はポピュラーな この2つをご紹介したいと思う。
パネットーネ

由来は意外にもミラノ出まれ。
膨張剤や蜂蜜、干し葡萄、かぼちゃを混ぜた初めての高価なパンとして、似たようなものは、すでに1200年代には存在していたという。
もちろん、由来についての逸話はいろいろあるのだが、その中から興味深いものをひとつ。
時は1400年代後半、ミラノ。
青年ウゲットにさかのぼる。
その父は当時ミラノを治めていたミラノ公ルドゥビーコ・イル・モーロの軍隊指揮官 ジャコメット・デッリ・アテッラーニ、日本で言えば士族にあたる。
この士族の息子、青年ウゲットが 若くて美しいアダルジーザに恋をする。しかし彼女は菓子屋の娘、一般庶民。身分は違えど、どうしても彼女のそば近くにいたいが為に、士族のこの一青年、なんと彼女の父上トーニのもとに菓子職人として入り込む。
その際に菓子職人であることを証明するため間に合わせに、小麦粉、膨張剤、バター、卵、砂糖、砂糖漬けの柑橘類を使って高級なパンを作ったという。
この、情熱ぶりを観た当時のミラノ公国総督ルドビーコ・イル・モーロの奥方ベアトゥリーチェは、ドメニコ会神父陣と、レオナルド・ダ・ヴィンチ(当時ミラノ総督ルドゥビーコ・イル・モーロの要請でミラノ・スフォルツェスコ城内 の装飾などの為、フィレンツエからミラノにきていた。
有名な最後の晩餐も、ドメニコ会教父の依頼でこのミラノ滞在中に描かれたもの。
城からそう遠くない位置にあるサンタ・マリア・デッラ・グラッツィア教会修道士食堂に描かれたこの作品のみが有名だが、城内は現在美術・博物館となっており興味深い彼の作品、板張りの間の壁天井画やレオナルド・ダ・ヴィンチの終末期の作品 ピエタ〈彫刻〉などを観ることができる。)の力を借りて、青年の父・軍隊指揮官 ジャコメットを説得し、若き二人の仲を取り持ったとのこと。

その後、ミラノはフランスやオーストリアに占領されるのだが、オーストリア王子も好んで食べてといわれる。
現在の パネットーネは、1847年に当時のローマ教皇・ピオ9世からの注文で、大型のお菓子を特別の馬車で贈呈した という菓子職人パオロ・ビッフィにはじまり、その後を継いで、モッタ製菓社による工場での大量生産により、各家庭の団欒に手軽に手に入るようになった。
今日では、クリーム入り、チョコレート入り、などの他いろいろな種類があるのだが、
オーソドックスなタイプは上記の青年ウゲットのレシピに加えて干し葡萄が入ったもの。
ちなみに、菓子の名前の由来を。
菓子屋の親方でアダルジーザの父トーニのパン”PAN DEL TONI (パン デル トーニ)” という言葉をもじって、PANETTONE (パネットーネ)と呼ばれるようになったという。。。。が、あくまでも伝説のひとつなので参考までに。
パンドーロ

こちらは同じ北イタリアでもさらに東、ヴェローナで誕生。
このヴェローナ市、ロミオとジュリエットとの舞台としても有名だが、
オペラファンの方はあの有名な野外劇場”アレーナ”でご存知かもしれない。
約2000年昔、もともとはローマ時代の闘技・遊技場として造られたが、今日では毎年、何十万人という観光客がイタリア国内はもとより海外各国から、この野外劇場での雄大な演出のオペラ公演を目的に、その感動を求めてやってくる。
さて、すこし話しは外れたがこのヴェローナ生まれのパンドーロ、
現在のパンドーロは1884年10月14日生まれ。かなりはっきりした日付だが
菓子メーカーのメレガッティ社がこのパンドーロの商標登録をした日となっている。
由来に関しては、こちらもたくさんの逸話や言い伝えがあるがその中からのひとつをご紹介しよう。
時代は800年以上も遡った1200年代 イタリア国ヴェローナ市の地元のお菓子”ナンダリン”。
ベネチア共和国(現ベネチア市)の初期成長期、オリエント貿易の際に東方への貢ぎ物として、
お菓子”ナンダリン”になんと純金の薄い金箔を貼りつけて贈っていたという。
パンドーロ〈PANDORO〉、ドーロ〈D'ORO〉とはイタリア語で金という意味、
つまり金のパン。
はるか昔のこの「金のパン」も、現在は一般庶民のクリスマスのお菓子として消費されている。
さらに興味深いのは、この型のデザインを当時のイタリア人印象派画家 ANGELO DELL'OCA BIANCA 1858−1942(アンジェロ・デッローカ ビアンカ)に依頼したというこだわりよう、このあたり、やはり芸術の国イタリアならではか。
老舗メレガッティ社に始まった現在のパンドーロ、その形は筒の星型、それも普通の星の5角形ではなく8角形というおもしろい形。
輪切りにするときれいな8角形の星とも花とも雪の結晶ともとれるかたち。
寒さのしみる北イタリアの12月。家族のつながりを大切にクリスマスの食と壇(暖)を囲むイタリア人の風習。
この、星にも花にも雪にもみえるたわいないお菓子のかたちの中に、この印象派画家デッローカも、たくさんの夢とロマンをたくしたのだはなかろうか。

メリークリスマス!!
by パヴィア情報スタッフ・カワセミ 

イタリア専門旅行会社のイタリアエクスプレスでクリスマス旅行を!
【関連する記事】